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五
徳次は急に目くばせをした。
「あの、さきほど往診に出かけましたさうで」
「いつから――?」
しばらく黙つていた後で、房一は
「なんだね、クレーの射撃なんてものは昔はなかつたもんだが、こなひだの競馬は僕も見たけれども、子供の時以来十何年ぶりのわけだが、あれはちつとも変つていないね。優勝の景品が米俵だなんてね」
「坑には入つてみたんかね。あすこはもう何年も入つた人がないちふことだが」
「君達は一体何者だ!」
庄谷はほんのしるしだけにちよつと頭を動かしたが、やつと相手が誰だか思ひ出したらしく、その細い眼が急に徴笑した。
と手早く切り上げて、堂本の家を出た。
「さうさう、先だつてはお加減がわるかつたさうですが――」
と、今やうやく気づいた盛子が叫び声をあげた。
「さあ、どうぞ。ずつとお通り下さい」